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松村堂

気になることは、気にとめる事にしました。

靴屋は、靴の本当の手入れを教えない理由

 

「何故なら長持ちしてしまうじゃないか」

今日ネットをチェックしてると靴のお手入れについての紹介文がありました。ずいぶん前になりますが以前からちょくちょく書いていますが僕は、靴を売っていた時代があります。その頃も靴を綺麗にするケミカル商品はそれなりにありましたが、本気で磨いて履くなんてお客様はあまりいませんでした。今もそうじゃないでしょうか?僕は、勿論靴屋上がりなので自分の靴はバリバリにメンテナンスをしますけど、妻などは靴の手入れに関しては正直皆無です。

靴はそもそも消耗品です。歩けば必ず減ります。右の足で左足を蹴り左の足で右足を蹴ります。そうして靴はドンドンくたびれていくのです。イレギュラーな傷や汚れは、勿論メンテナンスしてもいいですが経年劣化に対しての延命処置は型崩れに悪臭そしてなにより不衛生で全く宜しくないと、その時代にこんな風に教わりました。物を大事にすることは、まったくもって問題ないのですが、価格帯を問わず需要と供給のバランスが大事だという事を言いたかったんでしょう。

 

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販売員の身だしなみ

当時販売員の服装はヨーロピアンブームもあってバギーパンツにオープンシャツといっった感じでした。足元には、ガラス張りのカーフ(生後6か月以内の仔牛きめ細かい最上級の革)やキッド(生後6ヶ月くらいまでの仔山羊の革を鞣したもの)などヨーロピアンシューズを各々が自前で購入して履いていました。毎朝出勤すると店の開店準備を整えオープンまでのわずかな時間に自分のくつを磨き上げるのです。上手な先輩は、靴の先端であるトゥーの部分に顔が映るくらい磨き上げます。それにものの5分も掛からない時間で仕上げてしまいます。僕も先輩に仕事が、終わってから磨き方を教わり練習しました。今は、ガッツリ練習したのもあり、いつでもピカピカに磨けちゃいます。当然艶出し剤は、使わずロウビキの靴墨とウエスのみです。

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先輩に本音を聞く事に成功

その当時、前から疑問に思っていることがあり先輩たちは販売する時に靴の手入れに関してお客様から質問されても分かるようで分からない要はパッとしない説明ばかりしているので、ある時先輩に「何で靴の手入れの方法をお客様に教えてあげないんですか?」と尋ねたことがありました。その時先輩が「そんなもん教えてしまったら靴が長持ちしてしまうやろ」と即答でした。

「何という商売人なんだまさにプロだ・・・・。」と当時その言葉に衝撃を受けたと同時に共感もしました。要するに次から次から靴を買い換えてもらう為に店頭に並ぶ靴やスタッフの靴はピカピカにし自分とのギャップを感じてもらう様に仕向けていくのです。新しい時に素敵な靴は、くたびれてくるとアウトなのです。反対にスニーカーやワークシューズの様に下ろしたてより少し年期が入ったほうが味があってカッコイイ場合の靴もあります。それでも限度があり、度を越すとこれもアウトです。

要するに、そんな凝った手入れをしなくても大切に履けば、納得の行くところまで履けていくものです。ただそんな精神が今の靴屋さんに受け継がれているかは分かりませんけどね・・・・。